雨水（うすい）は、二十四節気の最初の節気であり、暦の上では春の始まりとされます。とはいえ、今年はまだまだ厳しい寒さが続いていますよね。でも確実に春は近づいています。少しずつ日差しが柔らかくなり、春の気配が感じられる時季が待ち遠しいですね。
二十四 節気 ・雨水とは？ 春を呼ぶ恵みの雨
雨水（うすい）は、二十四 節気 の第2番目にあたる節気で、立春の次に訪れます。毎年2月19日頃（年によって前後することがあります）に迎え、春の気配がより濃くなっていく時季です。
名前のとおり、降り積もった雪が溶けて水となり、草木が芽吹く準備を始める頃で、寒さが少しずつ和らぎ、冷たい空気の中にも春の気配が感じられてくる時季です。
この頃になると、農作業の準備が本格的に始まる地域も多く、田畑に恵みの雨が降ることで作物の生育が促されるとされてきました。現代でも、農業に従事する人々にとっては、春の訪れを告げる重要な節気ともいえるでしょう。
雨水の期間に含まれる七十二候とは？
雨水の時期には、三つの七十二候があります。七十二候とは、季節をさらに細かく分けたもので、それぞれの時季に自然界で起こることを表しています。
二十四 節気 （にじゅうしせっき）は、太陽の動きに基づいた中国起源の暦です。
1年を24等分し、各節気は約15日間隔で巡ります。節気には、気候の特徴や農作業の目安が示され、自然のリズムを感じながら生活をする知恵が伝わっています。
- 初候：土脉潤起（つちのしょううるおいおこる）
- 期間：2月19日頃〜2月23日頃
- 意味：冬の間に凍っていた大地が次第に温まり、土が潤い始める頃。降る雪も次第に雨へと変わっていきます。
- 次候：霞始靆（かすみはじめてたなびく）
- 期間：2月24日頃〜2月28日頃
- 意味：春の訪れとともに、山や野に霞（かすみ）がかかり始める時期です。遠くの景色がぼんやりと見え、柔らかな春の気配が漂います。
- 末候：草木萌動（そうもくめばえいずる）
- 期間：2月29日頃〜3月4日頃
- 意味：木々や草花が芽吹き、生命の息吹を感じられる頃。寒さの中でも、春に向けた準備が着々と進んでいます。
「霞（かすみ）」が春の訪れを告げる
雨水の次候の「霞始靆（かすみはじめてたなびく）」の霞とは、春先に見られるぼんやりとした空気のこと。特に朝や夕方に発生しやすく、山や遠くの景色がかすんで見える現象です。
昔の日本では、この霞を春の象徴として捉え、「春霞（はるがすみ）」と呼んで風流なものとして親しまれてきました。和歌や俳句にもよく登場し、春の情緒を表す言葉として使われています。
霞が出ると、春の足音がより近く感じられるもの。まだ寒さの残る2月の終わり頃ですが、朝の景色を眺めながら、春の訪れを感じてみるのも素敵ですね。
二十四 節気 雨水の行事・風物詩
ひな祭り
雨水の時期には、「ひな祭り（桃の節句）」の準備が始まります。特に、雨水の日にひな人形を飾ると、良縁に恵まれるという言い伝えがあります。
昔から、雨水は「命を育む恵みの水」とされてきました。ひな人形を飾ることで、娘の健康や幸福を願う意味が込められています。
ひな祭りについては単独の記事で詳しくご紹介しています！
2. 農作業の準備
雨水を迎えると、田畑の土が少しずつ柔らかくなり、春の農作業が始まります。特に、稲作を行う地域では、田んぼに水を入れ始める時期として意識されてきました。
また、雨水の時期に降る雨は「慈雨（じう）」と呼ばれ、作物の生長を助けるとされています。この時期に降る雨は、まさに春の訪れを感じさせるものなのです。
最初に吹く、強い南寄りの風「春一番」についてちょっと詳しく
春一番（はるいちばん）といえば、キャンディーズの曲が一番に、頭に浮かんでしまう世代ですが、今回は本当の風…、春一番。冬から春へと移り変わる時期に吹く、その年最初の強い南寄りの風のことを指します。これが吹くと、寒さが和らぎ、一気に春の気配が感じられるようになるはずなんですが、今年の大雪には驚かされられます…。皆様、どうぞご自愛ください。
では、春一番についてちょっと詳しく調べてみました！
春一番の条件とは？
気象庁によると、以下の条件を満たすと「春一番」と認定されます。
・立春（2月4日頃）から春分（3月20日頃）までの間に発生する。
・日本海で低気圧が発達し、南寄りの風が吹く
・風速8メートル以上の強い風で、気温が上昇する
季節が冬から春へと変わる時期に、初めて吹く暖かい南よりの強い風のことを言います。具体的には、2月4日ごろの立春（りっしゅん）から3月21日ごろの春分（しゅんぶん）までの間に、日本海で低気圧が発達し、初めて南よりの毎秒8メートル以上の風が吹き、気温が上がる現象のことです。この強い南風は、竜巻などの突風（とっぷう）を伴うこともあり、注意が必要です。気象庁HPより
春一番が吹くとどうなるの？
・特に、太宰府天満宮やその後、寒の戻りが起こることが多く、一時的にまた寒くなる
・黄砂や花粉が飛びやすくなる気温が急上昇し、春らしい陽気を感じることができる
・湯島天神など梅の名所では、梅まつりが開催され、多くの人が春の訪れを感じに訪れます
春一番が吹かない年もある？
そうです。気象条件がそろわないと「春一番」は発表されません。特に、強い風が吹かなかったり、日本海側の低気圧の発達が不十分だった場合は、認定されないこともあります。「春一番」だったと思われる…と言う報告も過去にはありましたよね。
春一番が吹くと、いよいよ春本番が近づいてきたと感じられますよね。もう少しの辛抱ですね！
まとめ
いかがでしたか？ 雨水は、寒さが和らぎ、春へと向かう転換点となる節気です。雪が雨へと変わり、土が潤い、草木が芽吹く。そんな自然の変化を感じることで、私たちの心も春に向けて少しずつ整っていきます。
霞がたなびき、春の訪れを感じるこの時期。ひな祭りの準備をしたり、冬の終わりを楽しんだりしながら、季節の移り変わりを味わいましょう。